四十肩・五十肩について

四十肩・五十肩

 

五十肩についての概要

四十肩の痛みに悩む女性

「五十肩」や「四十肩」という言葉は多くの人が耳にしたことがあると思います。
医学的には「肩関節周囲炎(かたかんせつ しゅういえん)(けんかんせつしゅういえん)」と言われます。

四十肩(しじゅうかた)、五十肩(ごじゅうかた)、言い方こそ違いますが、全く同じ物です。

一般的には40代の人は四十肩、50代の人は五十肩と使い分けているようです。好発年齢は40代~60代の人に多いですが、20歳でも80歳でも起こる可能性はあります。(五十肩の全体の約85%が40代~60代と言われています。)男女差としては、やや女性に多い傾向がありますが、さほど大きな差はありません。(男性に比べ女性の方が1.6倍程度多いと言われています。)糖尿病患者さんの罹患率は高いです。血糖値が高いと、関節包や靭帯といった軟部組織の主成分(コラーゲン)がかたくなりやすいといわれています。

五十肩の事を英語では「フローズンショルダー:frozen shoulder」(凍結肩)と呼びます。
また、肩関節周囲炎が長引き肩が上がらない状態、可動域が狭くなった症状の事をfrozen shoulder(凍結肩)と呼ぶ場合もあります。

 

豆知識

 

江戸時代、福山藩の漢学者「太田全斎」が執筆した国語辞書、「俚言集覧(りげんしゅうらん)」に五十肩という言葉が書かれています。

「凡、人五十歳ばかりの時、手腕骨節痛むことあり、程過ぐれば薬せずして癒るものなり、俗に之を五十腕とも五十肩ともいふ。また長命病といふ」

平均寿命が30~40歳だったといわれてる江戸時代の人にとっては、五十肩は長寿の証としてとてもおめでたい物だったのかもしれません。 厚生労働省が発表した平成28年簡易生命表によると、男性の平均寿命は80.98年 女性の平均寿命は87.14年となっています。 現代人にとって50歳は長寿とは言えないですし、五十肩を喜んでなんかいられません。

 

 

五十肩の症状

 

四十肩、五十肩の症状の変化の特徴を、わかりやすく図にしてみました。
四十肩、五十肩、症状変化の説明図

 

 

発症時

腕を上げた時などに、肩に鋭い痛みが突然現れることが多いです。
右または左の方どちらかに症状が現れ、両肩同時に痛みが出ることはほとんどありません。
(両肩同時に痛みを伴った場合は、別の病気を疑う必要があるかもしれません)

 

 

急性期

 

 

急性期(炎症期)(発症から2週間)

激しい痛みを感じるのが特徴です

・肩を動かしたときに鋭い痛みを感じます

・指先まで痺れるような痛みを伴うこともあります。

・安静時にも痛みを感じます(安静時痛)

・就寝時も痛みを感じます(夜間痛)

・特に痛い方の肩を下にして寝ると、強く痛みを感じる方が多いようです。

 

急性期の対応

・この時期にはできるだけ痛みを感じる動作を避けましょう。

・無理に運動やストレッチを行うのはNG。回復を遅くします。

・肩に負担をかけてしまった場合には、氷嚢などでアイシングを行うのも良いです。

 

痛みを感じにくくする工夫

・三角巾などで腕を吊って、肩関節を安静に保つ。

・横向きでの就寝時は痛い方の肩を上にして、抱き枕や毛布を丸めた物の上に腕を置く。

・仰向けで寝る場合は痛い方の肩の下にタオルなどを挟んで高さを調節する。

 

 

慢性期

 

 

慢性期(拘縮期)(急性期後~6ヶ月)

急性期に比べ痛みはやわらぎますが、肩を動かし難くなるのが特徴です。

安静時の痛みは徐々にやわらぎます。 鋭い痛みから鈍い痛みや重だるさに変わります。

肩の動きが悪くなります。(関節拘縮)

・特に結髪動作(髪を結ったり、肩に貼った湿布をはがしたり、などの動作)や、結帯動作(エプロンのヒモを腰で結んだり、腰に貼った湿布をはがすような動作)が制限されることが多いです。

・洋服を着替えるときや、ドライヤーで髪を乾かす動作なども困難になることが多いです。

・無理に肩を動かそうとすると強い痛みを伴います。

 

慢性期の対応

・リハビリの開始時期です。少しづつ肩関節を動かしていきましょう。

・腕を振り子のように振る「コッドマン体操」「アイロン体操」などと呼ばれる運動を徐々に開始しましょう。

・この時期にあまり動かさないでいると、治りを遅くしてしまいます。

 

回復期

 

 

回復期

肩を動かしたときの痛みが徐々に減ってきます。 動かし難かった肩の動きも、少しづつ動かせるようになってきます。

 

回復期の対応

動きの悪かった肩を、元に戻すために肩の運動やストレッチを積極的に行いましょう。

 

何が起こっているのか(五十肩の原因)

肩関節周囲炎の原因は、まだ明確には解明されていません。

肩関節の筋肉と骨格の図

肩の関節を構成する筋肉、靭帯、腱、関節包、滑液包といった組織が硬くなったり、縮んだりして炎症を生じるためと考えられています。

 

その他の要因

その他にも、下記のような様々な要因が四十肩、五十肩の発生に関与していると言われています。

運動不足などによる血行不良や柔軟性の低下

肩関節を酷使するような仕事やスポーツ

デスクワークやパソコン作業など、同じ姿勢の長時間持続

姿勢不良(猫背、ストレートネックなど)

精神的なストレス

生活習慣の乱れ(睡眠不足、栄養バランスの偏りなど)

ホルモンバランスの乱れ(更年期など)

自律神経の乱れ

糖尿病や甲状腺の病気など、他の病気からの影響

 

 

五十肩 セルフチェック

チェックシート

こんな動作で痛みを感じたり、違和感を感じたら要注意

・洋服の着替えの時、袖に肩を通す動作。

・寝がえりをうつ動作。

・高い所の物を取るような、腕を上げる動作。

・ドライヤーでうしろ髪を乾かす動作。

・エプロンのひもを腰で結ぶ動作。

・肩や腰に貼った湿布をはがす動作。

・電車で吊革につかまる姿勢。

・車のシートベルトをするときの動作。

もしも、上記の動作で痛みなどを感じる場合は肩関節周囲炎(四十肩、五十肩)の可能性があります。 痛みがある場合や不安を感じるときなどは、自分一人で悩まずに早めにお近く医療機関などに相談をしましょう。 皆さんのお家の近くにも信頼のできる病院(整形外科)や整骨院、接骨院、整体院などがきっとあると思います。

※肩関節周囲炎(五十肩)の場合、治癒(回復)するまで、治療が長期間になる場合が多いです。 ご自宅からの距離があまり遠い病院は選択せず、長期間通える距離の病院を選択する事も重要です。

 

五十肩 Q&A

肩の痛みを訴える中年女性
Q1. どれくらいの期間で治りますか?

 

A1.

一般的には半年~1年間位かかると言われています。 お体の状態、日常生活で肩に加わる負荷、施術の方法などにより期間に差があります。 回復に向かうための条件が整っていなければ、かなり長期化することも少なくありません。 自己判断で無理なストレッチをしたりはせずに、早めに医療機関を受診しましょう。

 


肩の痛みで寝れない女性
Q2. 痛みで目が覚めることが多く、十分な睡眠がとれない。どうしたらよいか?

 

A2.

必ずとは言えませんが、痛みのある肩を上にして横向きで寝る方が楽かもしれません。 また、抱き枕や毛布を丸めたものを用意して、腕をその上に置いて寝ると痛みが少ないことがあります。 仰向けの場合は、痛みのある肩の下にタオルなどを折ったものを挟んで、高さ調整をすると痛みを減らせるかもしれません。 それでも睡眠がとれない場合は、病院で相談の上、お薬を出してもらうのも良いでしょう。

 

みどり堂整骨院の施術例

身体の状態や症状に合わせて、下記の施術などを組み合わせて行います。

手技療法(マニピュレーション)

超音波治療器

干渉波治療器

アイスパック

ホットパック

運動指導

ストレッチ指導


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