アイシング(icing)について

アイシングの方法

 

いざという時に簡単に行える「アイシング」の方法をご紹介いたします。

氷嚢(氷のう)がなくても、身近なもので代用ができます。ご自宅や旅行先などでも行える方法なので、ぜひ参考にしてください。

 

自宅でできる、簡単アイシングの方法

 

簡易版「氷のう」の作り方

1. ビニール袋を用意しましょう。

コンビニのレジ袋などでも可

2. 氷(こおり)をビニール袋の中に入れます。

冷やしたい場所の広さに合わせて氷の量を調整しましょう。

3. 水(みず)をビニール袋の中に入れます。

水の量は氷が浸る程度で十分。あまり多くなくて良いです。

 

アイシングのやり方

1. 氷嚢(ひょうのう)を患部に当てます。

氷のうを患部に直接当てると凍傷を起こす恐れがあります。
乾いたハンカチなどを患部と氷嚢の間に挟むなどをして、凍傷の予防をしましょう。

2. 時間は約15分を目安に行います。

感覚がなくなったら(15分経っていなくても)氷嚢を患部から外します。

3. 痛みが強い場合など複数回アイシングを行う際には、インターバルを45~60分ほど開けてから再び氷嚢を患部に当てます。
※ アイシングの実施期間は、怪我の発生から24時間~48時間が目安です。

 

 

冷却(アイシング)のポイント、注意点など

 

アイシングの温度について

冷たければ冷たいほど効果が高いわけではありません。アイシングの適正温度は「0℃」と言われています。
冷凍庫から取り出したばかりの氷は、0℃よりも温度がかなり低いことが多く、そのまま直に肌に当てるのは凍傷の危険が高いです。
氷嚢には必ず水を入れて使いましょう。
アイスマッサージの場合は、氷の表面が濡れている状態(溶けかかっている状態)になってから使いましょう。

 

コールドスプレー

皮膚の表面を冷やすことができ、怪我をした直後の急性の痛みを一時的に軽減させるためには有効だと思います。
使用方法を誤れば凍傷の危険性がとても高い事も忘れてはいけません。
アイシングの適正時間(15分程度)、適正温度(0℃)という点から考えるとアイシングには向いていません。
アイシングの目的での使用はやめましょう。

 

アイスパック(人体用。冷却のために作られたもの)

冷凍庫から出したばかりのアイスパックは、温度が低すぎる場合が多く凍傷の危険があります。
適切な温度(0℃)にコントロールできるのであれば、とても便利で良いと思います。
ケーキや冷凍食品を買ったときに入っている食品用の保冷剤は、人間用の物ではありません。人体には絶対に使用しないでください。

 

冷湿布(冷シップ)について

商品により湿布剤の成分・効果は様々だと思いますが、一般的には「消炎」「鎮痛」などの効果は期待できると思います。
しかし、怪我に対するアイシングとしての冷却効果はありません。
湿布を貼ることがダメなのではなく、冷たく感じたとしてもアイシングを行ったことにはならないということです。
氷嚢などでアイシングを適切に行ったうえで、鎮痛などの目的にシップを貼るのであれば良いと思います。

 

熱冷まし用の冷却シートについて

風邪をひいたときのなどの発熱の際、おでこに貼ったりするシート。
「冷たく感じて気持ち良い」という満足感を目的に使うのであればよいのですが、怪我に対するアイシングとしての効果は全くありません。

 

冷却の時間について

おおよその目安は15分です。と書きましたが、実際には・・・
外気温、年齢、体重、筋肉量、基礎代謝、血行状態、部位などの様々な条件により適正時間が異なります。
一般的にはアイシングを開始すると「痛みや強い冷感」→「あたたかい感覚や灼熱感」→「ピリピリする感覚や痛み」→「感覚がなくなる」と進むといわれていますが、これも個人差があり「あたたかい感覚」などを全く感じない人も多いです。
適正時間の一番の目安になるのが「感覚がなくなったら」終了。(15分に満たない場合でも終了です)
複数回アイシングを行う場合、1回目よりも短時間で感覚がなくなることが多いです。(1回目と同じ時間を行う必要はありません。感覚がなくなったら終了してください)
その他、冷却中に患部を手で触れてみて、患部がどれくらい冷えたか温度をチェックすることも重要です。アイシングを安全に実施してください。複数回アイシングを行う間のインターバル時間についても、冷却時間同様に様々な条件によって異なります。
目安は45分間~60分間、間隔をあけましょうとは書きましたが、患部の状態により適宜判断をしてください。凍傷事故で多いのは「冷やしている間に寝てしまった・・・」が、とても多いです。その他にも「読書やゲームに夢中になって、長時間冷やしてしまった。」という人もいらっしゃいます。
キッチンタイマーなどを短めの時間で設定して、適正時間を超えてしまうような危険なアイシングにならないよう十分注意してください。

 

アイシングを実施する期間

けがの発生から24時間~48時間アイシングを実施します。と書きましたが、これも怪我の程度や炎症の軽減の程度、体の状態などによって異なるのが実際です。
当院に翌日来院された方の患部を確認した際に、想像以上に腫れや痛みが減少している場合もあれば、予想に反して熱感などが残っている場合などもあります。
まずは24時間様子を見て、患部の状態を確認した上で「まだ冷やすべき」「アイシングはもう必要ない」などと判断をしています。
ですので24時間~48時間はあくまでも目安です。ケガをした際には怪我が軽度のように見えたとしても、お近くの医療機関を必ず受診してください。

 

禁忌

アイシングを行ってはいけない場合もあります。

循環器疾患
寒冷アレルギー、寒冷蕁麻疹など
レイノー病(発作性血流障害など呈する疾患)
感覚障害のある部位
高度の高血圧や心疾患、腎疾患
過去にアイシング(冷罨法)を行った際に体に異常や不調などを感じた経験のある方
身体が衰弱している場合
寒冷などによる低体温の場合
アイシングが身体に何らかの負担をかけてしまう可能性がある場合

など・・・

アイシングを実施する前に、怪我をした部位だけでなく身体の状態なども必ず確認を行ってください。
疾患がある場合、疑いがある場合、適切な判断ができない場合など、安易にアイシングを実施せず専門の医師に必ず相談をしましょう。

 


 

その他の方法:アイスマッサージ

 

上記でご紹介した氷嚢によるアイシングの方法の他に「アイスマッサージ」という方法もあります。
こちらも、運動部の部活動などで怪我の多いお子様がいらっしゃるご家庭ではとても便利だと思います。

アイスマッサージ用「氷コップ」の作り方

紙コップの八分目までお水を入れて凍らせるだけで出来上がり!

お水の量は少し少なめにするのがコツ!
お水を一杯まで入れてしまうと、使用するときに紙コップを破きにくいです。

 

アイスマッサージのやり方

1. 紙コップの上を破き、氷が出るようにします。

2. 患部に氷を軽く押し当てて、円を描くように動かします。

 

アイスマッサージのポイント

氷の表面が乾いた状態(氷の温度が低すぎる状態)で使うのは凍傷の危険が高いです。氷の表面が濡れてきてから使うようにしましょう。
どうしても氷が解けてくるまで待っていられない場合などには、氷の表面を十分に水で濡らしてから使用してください。

氷が解けて患部とその周辺が水で濡れます。 タオルなどで余分な水分をふき取りながら行います。
アイスマッサージは指や手首、足首などにはとても便利な方法です。(首肩や腰には氷嚢の方が良いと思います)

※その他、注意事項は氷嚢による方法と同様です。

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